研究員のひとりごと

東京自治研究センター研究員のブログ

玉城沖縄県議会議員講演要旨を掲載します。

沖縄県議会議員・「島ぐるみ会議」事務局 玉城義和講演要旨

*「島ぐるみ会議」=沖縄建白書の実現をめざし未来を拓く島ぐるみ会議

 

■2014/11/28 午後6時30分 田町交通ビル6階ホール

■主催/沖縄と連帯する東京集会実行委員会主催

 

 沖縄県知事選挙では、現職の仲井間候補に対して翁長雄志候補が10万票の大差で勝利した。宮古八重山地区以外の市で翁長雄志候補が勝利した。この勝利は、一言で言って選挙運動から県民運動へ質が変わったことを意味している。沖縄の歴史に残る県知事選挙といえるだろう。捕獲の対決落ちった従来の枠組みではなく、沖縄の自立に向けた1968年の首席公選制も選挙以来の大きな意味を持つ。

 具体的には5つの意味があると思う。

 第1に、自主決定権という意味である。地方自治体の選挙にはない言葉だが、1609年の薩摩の侵攻、1872年の琉球処分、1945年の沖縄戦以降の沖縄の扱いなど、沖縄は常に踏み付けにされてきた。今回の辺野古新基地建設問題もそうした歴史に通じる日本政府の動きとして受け止められ、それに対して沖縄県民が自分たちの意思を示したということである。

 第2に、誇りと尊厳の問題である。今年初めの名護市長選挙で辺野古新基地建設に反対する稲嶺市長が当選したが、今回の県知事選挙の中で、名護市民から「ありがとう」と言われた。一方、総選挙では当時の自民党・石破幹事長が金をばらまく話をして自民党議員に辺野古容認に向けた圧力をかけ、仲井間知事も公約を裏切った。これが沖縄県民の誇りと尊厳を傷つけた。

 第3に、イデオロギーよりアイデンティティーということである。沖縄県民に共通するアイデンティティー、歴史の共有、平和と経済を対立させたり秤にかけたりするのではなく、アイデンティティーを持った政治の実現が求められた。

 第4に、米軍基地は沖縄の発展の阻害要因であるということだ。数字的なデーターもそれを物語っている。吉は雇用も収益も生み出さない。翁長雄志新知事も「安保条約は認めるが沖縄への過重な米軍基地は認めない。沖縄にとってマイナスである」と言い切っている。その意味では21世紀の安全保障のあり方について、また基地被害、地位協定の矛盾などこれを契機に議論を深めるべきである。

 第5に、オール沖縄になったという大きな意義がある。昨年1月の沖縄建白書は復帰前の屋良時代の建議書を思い浮かべて起草した。「島国会議派」は1万人の会員を目標にしている。これは、「辺野古がだめなら普天間が固定化する」という本土の恫喝に屈することなく、本土の冷たい世論に対して沖縄から逆オルグするような意味もある。本土はしっかり受け止めるべきだ。

 

 翁長雄志新知事が辺野古に基地をつくらせないとする具体的な対応がいろいろ言われているが、そうした法律論的な戦術ではなく、沖縄県民の民意を尊重させていく運動と世論が大切だと思っている。そのためにもオール沖縄は崩さない。

 総選挙では、基地建設推進派の自民党議員に対して、4選挙区すべてに「島ぐるみ会議」が推薦する辺野古基地建設反対派候補を立て、勝利することが次の課題だ。

 

 

以上、文責東京自治研究センター研究員・藤岡一昭