研究員のひとりごと

東京自治研究センター研究員のブログ

ふたたび再開、まずは沖縄です。

9月14日、沖縄県翁長知事は正式に辺野古埋め立て承認の取り消しを表明しました。それ以降、今日までの経過をお送りします。

 

・9/14沖縄県翁長知事、辺野古埋め立て承認の取り消しを表明。「取り消すべき瑕疵があると認められた」「政府は沖縄の意見を取り入れる姿勢はなかった」

・9/14米国防総省・デービス報道部長、「日米両政府の移設計画に変更はない」

・9/15沖縄県選出野党国会議員(5人)全員が翁長知事の「埋めてて許可取り消し」を支持。

・9/15ワーク・米国防副長官、「辺野古移設は沖縄米軍再編に不可欠」

・9/17防衛相沖縄防衛局、沖縄県翁長知事の埋め立て承認取り消しに関する意見聴取に「応じない」と県に回答した。前知事の埋め立て承認に瑕疵はない、とすることが理由。

・9/19辺野古、キャンプシュワブ前の移設反対テントが襲撃される。襲撃犯3人逮捕。

・9/21ジュネーブ国連欧州本部シンポジウムで翁長知事は「県民の自由と平等と民主主義が無視され、自己決定権がないがしろにされている」と訴えた。

国連人権理事会の演説では「沖縄県内の米軍基地は、米軍に強制徴用されたもので、自ら提供したものではない。米軍基地被害によって沖縄の人権は大きく影響を受けている。沖縄の自己決定権がないがしろにされている。自国民の自由、平等、人権、民主主義を守れない国が、世界の国々とその価値観を共有できるのか。日本政府は民意を一顧だにせず、基地建設を強行しようとしている。あらゆる手段で阻止する」とした。

ジュネーブ日本政府代表部・嘉治美佐子大使「辺野古移設計画は合法的に進められている。沖縄県民の理解を求める努力を続ける」

・9/25沖縄県辺野古埋め立て承認の取り消し手続きのため、28日に沖縄防衛局の意見聴取を実施する。政府は意見聴取ではなく、正式な「聴聞」をすべきと主張。

・9/28翁長沖縄県知事、沖縄防衛局からの法律上の聴聞を10月7日に行うと発表。沖縄県の非公式の意見聴取に沖縄防衛局が従わなかったため、行政手続法に基づく聴聞を実施することとなった。

・9/29米、国防関連法案で、普天間飛行場の移転に関し「辺野古が唯一の解決策」の文言を盛り込まず。

【2015/10】

・10/7沖縄県、沖縄防衛局に対する「聴聞」の場を県庁内に設置。沖縄防衛局は欠席。

・10/13沖縄県翁長知事、米軍普天間飛行場の移設先とされた名護市辺野古沖の埋め立て承認を取り消す。移設工事は中断。

・10/13米国務省・トナー報道官、記者会見で辺野古基地建設の行き詰まりを質問され、「日米両政府は引き続き辺野古移転に取り組む決意」と発言。

・10/14防衛相、政府・国土交通省行政不服審査法に基づく不服審査請求を行った。裁決が出るまでには通常数カ月かかるため、取り消しの効力をいったん止める執行停止も同時に申し立てた。

・10/16沖縄県翁長知事、国土交通省沖縄県の埋め立て承認取り消しを「無効」とした場合、県は第三者機関の「国地方係争処理委員会」に審査を申し出る方針。全国3例目。

・10/19朝日新聞取材、国の「普天間飛行場代替施設建設事業にかかわる環境監視委員会(環境委員会)」の13人の委員のうち、4人が辺野古護岸工事や環境調査関係シンクタンクから寄付金、報酬を受けていることが情報公開請求等で判明した。官邸側は「問題はない」とした。

・10/20辺野古新基地建設受注業者の建設環境コンサルタント「いであ」が、「環境監視委員会」の運営業務も随意契約で受注していた。2012年以降のへの新基地関係事業は、ジュゴンサンゴ礁の調査など10件以上約30億円分、環境監視委員会運営業務は約2400万円の随意契約。契約期限後の今年9月以降も共同企業体で約5000万円の随意契約をしている。

 翁長知事「環境保全をやっていたかどうか、県民は納得できない。業者と委員の関係も国に説明を求めていく」

 官邸側は防衛庁に事実関係を確認するよう指示。菅官房長官「癒着などの疑念を持たれるようなことは避けるべき」ただし「これまでの議論は公明正大に行われている」「この問題が新基地建設に影響を与えることはない」とした。

・10/20島尻沖縄北方担当相、内閣府沖縄県翁長知事と会談。沖縄振興で協力することを確認。

・日米両政府、沖縄海兵隊グアム移転協定に基づき、テニアン島に整備する訓練観覧施設設計費として12億円負担することを確認。協定では、最大28億円まで負担すると決まっている。

・10/21沖縄県翁長知事、国交省に対して辺野古埋め立て承認取り消しの正当性を訴える「意見書」と「答弁書」を送付。それぞれ約950頁、内容はほぼ同様。①行政不服審査法は国民を救済することを目的とし、政府が県に対して行うことは法の趣旨に反する。②県内移設の地理的必然性が認められない。③環境保全があいまい。…などが論点。

・10/22中谷防衛相、記者会見で国の有識者委員会メンバーが業者から寄付を受けていた問題で、「移設作業には影響ない」「中立、公平な立場で議論されている」と発言。

・10/23菅官房長官記者会見、「辺野古・久辺三地区(辺野古、豊原、久志)は移設工事が行われている場所で、何ができるか検討する」、中谷防衛相「辺野古移設で大きな負担をかける久辺三地区に生活環境の保全、向上、地域振興にできるだけ配慮する」とし、名護市を通さずに振興費を支出する検討を始めた。琉球大学・我部教授「法治国家とは言えない行為」

・10/23元沖縄県幹部・志村恵一氏が、2016年1月24日の宜野湾市長選挙に、「辺野古移設反対」の立場で立候補する。

・10/23九州大・木佐茂男教授ら行政法研究者93人が、「(不服審査法に基づく対抗措置)政府の手法は国民の権利救済制度の乱用であり、不公正」とする声明を出した。

・10/26政府、辺野古・久辺三地区(辺野古、豊原、久志)の区長と懇談。菅官房長官「皆様の今後の生活の向上、地域の振興に関し、できるだけ配慮するのは当然だ」、三区長「防災備蓄倉庫、地区会館の修繕、芝刈り機の購入、東屋の整備」など要求。

 井上沖縄防衛局長「地元の要望にきめ細かく対応する」

名護市・稲峰市長「やり方が普通じゃない。地方分権の無視だ。法治国家としてやることか」名護市には55区ある。

・10/27石井啓一国交省防衛省による沖縄県翁長知事の辺野古埋め立て工事承認取り消し処分に対する処分効力の執行停止の申し立てを承認、決定した。さらに、地方自治法により仲井間前知事の承認を復活させる「代執行」の手続きを開始する決定をした。

・10/28沖縄防衛局、辺野古沖の埋め立て工事再開の届を沖縄県に提出。同時に翁長知事あてに、「承認取り消しの撤回を求める勧告書」も郵送。これに知事が従わなければ、国が変わって承認する代執行に向けて高等裁判所に提訴する予定。沖縄県側は、「国地方係争処理委員会」に審査を申し出る予定。

・10/28防衛相、辺野古移設関連事業を受注している業者を、沖縄「環境監視党委員会」の運営業務から外すことを決定。「疑念を抱かれる可能性がある」

・10/29沖縄防衛局、辺野古沖埋め立て本体工事強行着手。菅官房長官「仲井真前知事から埋め立て承認をいただいた。行政判断が下っている訳だから、その継続というかたちで進めている」、翁長沖縄県知事「法律的に最終的な判断が示されないまま工事が強行された。激しい憤りを禁じ得ない。沖縄の人々の気持ちに寄り添うと言いながら、そのような意思はみじんも感じられない」

・10/30菅官房長官、グアムで米太平洋海兵隊トゥーラン司令官と会談。沖縄海兵隊のグアム移転促進を要請し、普天間基地辺野古移設方針グアム移転費総額86億ドルのうち日本は28億ドルを負担。

【2015/11】

・11/2沖縄県翁長知事、国地方係争処理委員会に審査を申請。翁長知事、「国交省の決定は違法な関与行為だ」

・11/5中谷防衛相、辺野古沿岸部付近で石器、土器が見つかったが「(埋め立て事業は)事業として進める」「埋蔵文化財は関係法令に従い適切に対応する」と発言。

・11/6翁長知事、沖縄県の埋め立て承認取り消し処分に対する国(国土交通省)の撤回勧告を拒否する文書を石井国交大臣に送付。国の見解をただす質問状も添付。国の撤回勧告は、拒否を前提に、その際の「代執行」手続きを見越した措置。

 また翁長知事は、辺野古周辺の警備に「警視庁機動隊を投入し、なりふり構わず移設を強行しようとしている」と政府を批判した。菅官房長官法治国家として、法令に基づいて適切に対応していく」

・11/6菅官房長官辺野古3地区の振興費について「反対運動の違法駐車や騒音が激しく、住民の生活安定に対応していく必要がある。反対の嵐で3区周辺にたくさんの人が来て生活に影響が出ている。今までも騒音防止事業に対応している」と記者会見で語った。

・11/9石井国土交通相、翁長知事の承認取り消しを撤回するよう指示する文書を沖縄県に郵送した。6日の沖縄県翁長知事の撤回勧告拒否を受けたもの。撤回期限は3日以内となっていることから、回答期限は13日。

・11/10沖縄防衛局、辺野古沿岸部の海底ボーリング調査の再開に向け、クレーン作業船二隻を海上に搬入。

・11/11翁長知事記者会見、石井国交相の「沖縄県知事の埋め立て承認取り消しを撤回するよう求めた勧告を拒否する」ことを表明。

・11/13ラッセル米国務次官補、記者会見で「(辺野古移設は)日本の安全保障を担うとともに、地方政府と一緒に仕事をすることは日本政府の責任だ」「辺野古移設が実現可能な最善の解決策」

・11/13国地方係争処理委員会、初会合。国交省の決定が、地方自治法に規定する係争処理委員会の審査対象かどうかが当面の論点。

・11/17政府、沖縄県翁長知事の辺野古埋め立て承認取り消し処分の撤回する代執行に向けた訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。

・11//17沖縄辺野古の地元3区長、「条件付き容認」を否定。「基地に来てほしい人はいない」「容認したわけではない」「(久志区の)移設反対決議は生きている」

・11/22沖縄防衛局、辺野古沿岸にコンクリート製ブロックを雄積んだ作業船を搬入した。

・11/27政府は辺野古新基地建設予定地付近の久辺3区に3900万円の補助金を直接交付する新制度を創設した。

【新制度】

防衛相・在日米軍等中流関連諸経費を財源とする「再編関連特別地域支援事業補助金」として1町会最大1300万円補助。補助交付要綱に、新基地建設が実施されることを前提とした地域づくりが対象とある。

【2015/12】

・12/1沖縄県宜野湾市・佐喜真市長、官邸で菅官房長官普天間飛行場の早期閉鎖と返還の要請書を提出。菅官房長官「危険除去を実現するため全力で頑張る。沖縄の基地負担軽減に向けて目に見える形で実行に移す」島尻沖縄北方担当相、岸田外相、中谷防衛相とも会談。

・12/2沖縄県翁長知事の埋め立て承認取り消しを違法として国が求めた「代執行」訴訟第1回口頭弁論で翁長知事が意見陳述。「政府の強硬政策は米軍施政権下の時代と変わらない。日本に地方自治や民主主義があるのか。沖縄にのみ負担させる安保体制は正常なのかを国民に問う」とした。これに対して国は「法廷は議論の場ではなく、(一度決めた)行政処分の安定性は保護する必要がある。国家存亡にかかわる(辺野古移設)ことを知事が判断できるはずがない」と主張した。次回弁論は1月8日。

・12/4沖縄選出6国会議員に、辺野古移設受注業者が90万円の寄付。自民=国場幸之助宮崎政久比嘉奈津美西銘恒三郎大阪維新=下地幹朗。玉城デニー=生活。

・12/4日米両政府、嘉手納基地以南の米軍基地返還で普天間飛行場の約4ヘクタールなど一部返還。返還計画(1048haの1%以下)

・12/5辺野古埋め立て工事受注7業者が6議員・自民党沖縄県連に、1105万円寄付。

・12/6辺野古移設反対グループ、反対運動をまとめる「オール沖縄会議」を12月14日設立するとの記者会見。共同代表に、「金秀グループ」代表・呉屋守将会長、名護市稲嶺市長らが就任予定。

・12/8沖縄県辺野古新基地建設で、国を提訴する議案を議会に提出。

・12/10沖縄県議会、翁長知事の国を提訴するための議案提案。「国土交通大臣の(辺野古埋め立て取り消しの効力を止めた)決定は違法と考える。(5月県民大会・うしぇーてぃ、ないびらんどー「甘く見るな、見くびるな」)

・12/10「辺野古基金」5億円超える。76,647件・5億99万円

・12/14「辺野古新基地を作らせないオール沖縄会議」結成大会(宜野湾市)。1300人参加。

・12/15島尻沖縄・北方担当相、記者会見で「(辺野古移設問題で翁長知事と対立している影響が)沖縄振興予算に全くないとは考えていない」

・12/18防衛省辺野古の久辺3区の内、久志区を除く2区について新基地建設に賛同していることを前提とし、辺野古区に防災備蓄倉庫建設費として約1200万円、豊原区に区民グラウンド整備費として約1100万円を交付。「再編関連特別地域支援事業補助金

・12/18沖縄県議会本会議、辺野古移設阻止に向けた訴訟費用約1300万円を盛り込んだ補正予算を可決。

・12/19琉球新報松本剛編集局次長兼報道本部長、大阪で「沖縄は反米ではなく民主主義の価値を重んじている。地方自治の権限をはく奪し、はむかうメディアを押しつぶすような国の独善にどう立ち向かうのか、全国のメディアが問われている」と講演した。

・12/21政府、2016年度沖縄振興予算3350億円。(2016年度に比し10億円増)