研究員のひとりごと

東京自治研究センター研究員のブログ

ごうるでんウィーク

 今年のごうるでんウィークはいつから始まるのだろうか。

 連合はかなり前からごうるでんウィークの初日にメーデーを開催しているので、それからすると426日から始まったことになる。今日で3日目だが、私も含めて周りの人々は休まず出勤しているようだ。

 ところで今年の中央メーデーには安倍首相が招待されあいさつしたそうである。メーデーは連合の主張や政策を発信する大きな機会でもあるから、内容はともかく、首相が来てあいさつするということだけでそれなりの意義があるのだろう。

 しかしアベノミクス第三の矢は、企業に対して弱い立場の労働者の権利を次々に奪おうとしている。残業代ゼロや労働者派遣の無期限受け入れなどやりたい放題の感がある。

 社会の中で、企業経営者に比べて圧倒的多数の労働者の働き方が劣化すれば、社会そのものが腐ってくる。企業収益が上がって大企業の正社員は多少賃金が上昇しても、増え続ける非正規労働者やシングルマザー、シングルファーザーで働くような若者たちの生活はむしろ貧困化している。完全失業率は改善されているというが、正規雇用が減りそれ以上に非正規雇用が増えているから失業率だけ下がるという、実は悲しい物語がここ数年続いているのである。

ここを何とかしなければ連合の存在意義が問われてくる。

 経営サイドの日本経済新聞でさえ、メーデーに政権与党を呼ぶのもいいが肝心なのは連合自身の行動(「連合の行動力が問われる」424日付社説)、と書いている。

  ところで今日は428日。安倍首相に聞きたい。今年は「主権回復の日の祝賀会」はやらないのですかと。

 1952428サンフランシスコ講和条約が発効して62年が過ぎた。この条約が「主権回復の日」の根拠だが、一方では沖縄をはじめ南方諸島を切り捨てた日でもある。沖縄は本土防衛のため地上戦を強いられ、サンフランシスコ条約で切り捨てられ、復帰後現在に至っても米軍基地に苦しめられている。その象徴が428日であり、沖縄にとっては屈辱の日である。(427沖縄タイムス社説、428琉球新報社説)

 「428主権回復の日」が、たちの悪いブラックジョークだと気がついて今年の「祝賀会」を止めた訳ではない。むしろ集団的自衛権の行使容認や専守防衛を否定する「積極的平和主義」、民意を無視した辺野古新基地建設などの動きをみると、「沖縄に米軍基地があって良かった」と言い出しかねないのではないだろうか。

  ごうるでんウィークという響きに、明るい未来を感じる人々がどんどん少なくなっている日本社会について、危機感を共有したいと考える人々も少なからず存在する。しかし、その軸がない。軸が現れるまで、現実社会を正確にウォッチングし、発信し続けることが研究員の役割りということだろうか。